
更新日:2024-09-18
整骨院の開業を支援する補助金や助成金は、初期投資やランニングコストの一部を補填でき、大きな助けとなります。
まずは補助金や助成金についての情報を集め、返済義務のない資金を上手に活用することが成功のカギとなるでしょう。
今回は、整骨院の開業時に使える補助金や助成金の種類や、補助金や助成金のメリット、注意点について紹介します。
目次
- 3-1.創業助成事業
- 3-2.小規模事業者持続化補助金
- 3-3.IT導入補助金
- 3-4.事業再構築補助金
- 4-1.返済する必要のない雑収入になる
- 4-2.院の社会的信用力が増す
- 4-3.院の課題解決や事業成長につながる
- 5-1.受給までに手間と時間がかかる
- 5-2.入金までに時間がかかる
- 5-3.期限がある
6.まとめ
1.整骨院開業時に必要な初期費用
整骨院開業時の初期費用には、以下のような費用が必要経費として挙げられ、事業計画や開業予算を立てる際に考慮する必要があります。
また、地域の法律や規制に従った設備や設置物の条件も確認し、それに応じて計画を調整することが重要です。
特に最近は整骨院数も多く、患者さんが来院しやすい環境作りが重要になるため、内装代が膨らむケースが増えています。
少しでも初期費用を抑えて、余裕のある準備をするためにも、補助金や助成金を活用することが成功のカギとなるでしょう。
整骨院の開業時に発生する初期費用
物件関連の費用
- 賃貸契約費用
- 整骨院の改装・内装費用
- 保証金
設備・備品関連の費用
- 施術用ベッドや機器
- 受付や待合室の家具
- 医療機器や治療器具
法的・手続き関連の費用
- 開業届の提出費用
- 開業に必要な資格やライセンスの取得費用
- 保険料
広告・宣伝費用
- ロゴや名刺の作成費用
- チラシやポスターの印刷費用
- オンライン広告やウェブサイトの制作費用
経営管理費用
- 事務用品の購入費用
- 予約管理システムや会計ソフトの導入費用
- 従業員の給与や福利厚生費用
予備費用
- 予期せぬ出費やトラブルへの備えとしての予備資金
2.補助金と助成金の違い
補助金は、競争型の制度であるため、事前に計画をしっかり立て、申請時にアピールする必要があります。審査に通れば大きな資金を得ることができますが、受給には時間がかかることもあります。
助成金は、条件を満たす事業者であれば基本的に受給でき、主に雇用促進や人材育成などに関連した支援が行われます。
助成金
助成金は、主に「雇用促進」や「労務環境改善」に対して支給される公的資金のことを指します。
条件を満たせば比較的スムーズに受け取れるため、資金の確保がしやすいのがメリットです。基本的にはいつでも申請が可能の場合が多いです。
補助金
補助金は、主に中小企業や小規模事業者を対象とし、国の掲げる政策に適合する事業を行っている会社に対し「設備投資やサービス」などに対して支給される公的資金のことを指します。
審査は厳しく、競争率も高いものが多いですが、受給額が大きいことが特徴です。また、応募時期が限定されている場合が多いです。
3.整骨院開業時に使える助成金・補助金の種類
地域によって、提供される補助金や助成金の種類は異なります。
事前に自分の開業する地域の制度を確認し、最も有利な支援を受けられるようにすることが重要です。
各補助金・助成金の公募要領は2月~3月に公表されることが多いです。
募集期間が短いものも多いため、毎年2月以降に情報収集を始めると、事前準備の時間を確保できるでしょう。
補助金や助成金の種類は多く、使用できる補助金・助成金をお探しの場合は下記のサイトがオススメです。
→経済産業省ミラサポPLUS
各地方自治体で独自の補助金・助成金を実施している場合があるので、こちらのサイトもオススメです。
→支援情報ヘッドライン
創業助成事業
「創業助成事業」とは、公益財団法人である東京都中小企業振興公社による助成金です。
東京都内で創業予定の個人又は創業から5年未満の中小企業者等に対し、賃借料、広告費、従業員人件費等、創業初期に必要な経費の一部を助成します。
東京都における創業のモデルケースを創出し、新たな雇用を生み出すなど、東京の産業活力の向上を目的として実施されるものです。
受付は、毎年4月と10月に行うことが多いですが、変更する場合もあるようです。最新情報は定期的にチェックしましょう。
助成限度額
上限400万円、下限100万円
助成対象期間
交付決定日から6か月以上2年以下
助成率
助成対象と認められる経費の2/3以内
助成対象経費
賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
詳細はこちらをご確認ください。
→創業助成金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、商工会議所にて行っている補助金です。
小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
店舗の改装、ホームページの作成・改良、チラシ・カタログの作成、広告掲載などが補助対象になりえます。
申請にあたり、経営計画を策定する必要がありますが、各商工会がサポートもしてくれるのも特徴です。
申請は、電子申請システムでのみ受け付けています。
補助上限
[通常枠] 50万円
[賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠] 200万円 ※インボイス特例対象事業者は、上記金額に50万円の上乗せ
補助率
2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4)
対象経費
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費
詳細はこちらをご確認ください。
→全国商工会連合会
→小規模事業者持続化補助金
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→整骨院が申請できる補助金【小規模事業者持続化補助金】IT導入補助金
IT導入補助金とは、一般社団法人サービスデザイン推進協議会にて行っている補助金です。
様々な経営課題を解決するためのITツール(ソフトウェア、サービス等)導入を支援するための補助金です。目的に応じた5つの類型から申請することができます。
手作業で行っていた業務をITツールの導入によって業務の効率化を計る際に使用できます。
整骨院では、勤怠管理ツールやレセコン導入に使用された例もあります。
「gBizIDプライム」アカウントの取得、「SECURITY ACTION」の実施、および「みらデジ経営チェック」実施が必要です。(IT導入補助金とはをご参照ください)
補助額
5~150万円 ※種類・条件により変動
補助率
補助対象と認められた経費の1/2以内 ※種類・条件により変動
詳細は下記よりご確認ください。
→IT導入補助金
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱 化又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する、中小企業等の挑戦を支援する補助金です。
認定経営革新等支援機関と策定する「事業計画書」の提出が必須です。
補助金額
1500~3億円 ※枠・条件により変動
補助率
1/2 ※枠・条件により変動
詳細はこちらをご確認ください。
→事業再構築補助金
4.整骨院で活用する補助金や助成金のメリット
補助金や助成金を活用することは、整骨院開業時の資金繰りを大きく助けます。
まず、自己資金や借入金だけでなく、こうした支援制度を利用することで、資金調達の幅が広がります。また、補助金や助成金を受けることで、将来の返済負担が軽減されるため、開業後の経営にも好影響を与えます。さらに、補助金や助成金を受給することで、整骨院の信用度が向上する可能性もあり、事業展開においてもプラスの要素となるでしょう。
① 返済する必要のない雑収入になる
補助金や助成金は、銀行融資やカードローン、事業融資と異なり「基本的」に返済の義務を負いません。
また、受け取った補助金は「雑収入」の勘定科目に仕分けができます。
助成金に至っては、自由な目的でお金を使えることも多いです。
ただし、中小企業庁が支給する創業補助金など、一部の補助金には返済義務がある場合もあります。返済義務があるか同時に調べておくことも大事です。
助成金の原資は、企業が納める雇用保険料を財源としているため、返済義務のない「支給されるお金」となります。
補助金は「雑収入」に該当するので、法人税の対象になります。その点は注意が必要です。
補助金や助成金から消費税は発生しません。
② 院の社会的信用力が増す
補助金や助成金のほとんどに与信審査が含まれます。申請を行えば、必ずしも補助金や助成金が受け取れるわけではありません。
特に、補助金は助成金に比べ、受給のハードルが高く、受理されない場合もあります。
その一方で、この与信審査は国が行うものなので、受理されれば、企業としての信用力が増します。公的補助金がもととなり、融資や別の審査に通りやすくなるということも珍しくありません。
③ 院の課題解決や事業成長につながる
補助金は「設備投資」、助成金は「雇用促進」や「労務環境整備」といった各条件の範囲内であれば、ある程度自由に使うことができます。
生産性を生み出すものに資金を投資することで、院の成長につなげることができます。
5.補助金や助成金の注意点
補助金と助成金を利用する際には、それぞれの制度に応じた適切な準備が必要です。申請書類や事業計画をしっかりと整え、審査や条件を満たすことが求められます。
また、補助金や助成金を利用した後も、一定の報告義務や使途に関する規制がある場合が多いため、これらの点にも注意が必要です。
① 受給までに手間と時間がかかる
不正な受給を防ぐため、補助金・助成金の受給要件は難しくなっています。
申請に対しての専門知識や書類、審査のための時間もかかりますので、手間も時間も必要です。申請期限までに必要な書類を不備なく提出しなければならないため、長ければ取得までに1年を要する場合もあります。
② 入金までに時間がかかる
申請後すぐにお金が入金されるものではありません。
補助金は原則、後払いです。申請後に審査に通れば入金されますが、必要な経費を支出した後に補助金が入金されることになりますので、注意が必要です。
助成金も、一定期間にわたり、改善された労務環境を維持して、初めて支給されます。維持期間は短ければ3か月、長いものでは半年の期間が必要です。
③ 期限がある
補助金・助成金ともに申請期限が定められています。
特に補助金は、応募期間が1か月しかないものもあります。申請には何種類もの書類を用意する必要がありますので、情報を事前にしっかり集め、準備の時間を確保することが必要です。
6.まとめ
整骨院の開業時には、補助金や助成金を活用することで初期投資の負担を軽減できます。
各補助金・助成金の公募要領は2月~3月に公表されることが多く、募集期間が短いものも多いため、毎年2月以降に情報収集を始めると、事前準備の時間を確保できるでしょう。
申請プロセスは少々複雑ですが、整骨院の開業準備を円滑に進めるためにも、使える補助金・助成金を有効活用しましょう!

監修:コアラボ編集部
この記事は、整骨院・サロン向けのトレーニング機器を販売する株式会社モン・スターズのコアラボ編集部が監修しており、わかりやすく役に立つ記事を目指しています。
本記事の情報は2024年9月18日時点の情報です。情報提供のみを目的としております。最新情報や詳細などは各補助金・助成金の事業者にお問合せください。